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急な痛みへの対応と東洋医学という選択肢― 痛みの原因を見極め、長引く痛みも見据えた治療を考える

3 時間前
読了時間: 16分

はじめに:痛みの治療に、ひとつだけの正解はない

痛みが生じたとき、まず大切なのは、痛みの原因を見極め、必要な治療を受けることです。けがや筋肉・関節の痛み、内臓の病気など、原因によって適切な対応は異なります。

痛みの治療には、薬物療法、運動療法、注射などの医療的な処置に加え、漢方薬や鍼灸といった選択肢もあります。ただし、それぞれの治療で期待できる効果や科学的根拠、安全性は異なります。

診療ガイドラインは、現時点で得られている科学的根拠などを総合し、望ましい診療の方向性を示す重要な資料です。一方で、すべての患者や状況に当てはまる絶対的な正解ではありません。研究で明らかになっていること、まだ十分にわかっていないこと、実際の診療で得られる経験を区別しながら、患者一人ひとりに合った治療を考えることが大切です。

本シリーズでは、急性痛への対応を出発点として、痛みが長引いた場合に治療の考え方がどのように変わるのかを解説します。今回は、急な痛みへの初期対応と、漢方薬や鍼灸を含む治療の選択肢について考えます。


1.急な痛みが起きたとき、まず大切なこと

急な痛みが起きたときは、痛みをやわらげることと、原因を見つけることの両方が大切です。

原因には、転倒や打撲などのけが、ぎっくり腰や寝違え、筋肉や関節の痛み、胃腸や心臓など内臓の病気があります。痛みの場所や強さだけで原因を判断できない場合もあり、必要に応じて診察、血液検査、画像検査などを行います。

突然の強い胸痛や腹痛、息苦しさ、意識が遠のく感じ、急な手足の麻痺などがある場合は、重大な病気の可能性があるため、救急車を呼ぶなど緊急の対応が必要です。

痛みを我慢し続ける必要はありません。原因を調べながら、適切な方法で痛みをやわらげていきましょう。

急性痛と慢性疼痛の違い

急性痛は、けがや病気などをきっかけに生じる痛みで、原因の評価と適切な初期治療が重要です。一方、痛みが長期間続く場合には、組織の損傷だけでは説明できない神経系の変化や、睡眠、心理的ストレス、活動性なども考慮する必要があります。

一般に、慢性疼痛は3か月を超えて持続または反復する痛みと定義されます。ただし、3か月になるまで対応を待つという意味ではありません。

急性痛が必ず慢性疼痛に移行するわけではなく、適切な初期治療によって慢性化をすべて防げるとも限りません。それでも、原因を見極め、適切な鎮痛と活動の調整を行い、痛みの経過を確認することは重要です。


2.けがをしたときの対処法

捻挫、打撲、肉離れなどでは、痛みや腫れを抑えながら、傷ついた部分の回復を助けることが大切です。

2-1.RICE:けが直後の対応として知られる考え方

RICEは、けがをしたときの応急対応として広く知られています。

·        R:Rest(安静) — 痛みが強くなる動作を避け、患部を休ませます。

·        I:Ice(冷却) — 冷やすことで痛みをやわらげられる場合があります。氷や保冷剤はタオルなどで包み、直接皮膚に当てないようにします。

·        C:Compression(圧迫) — 包帯やサポーターなどで適度に圧迫し、腫れを抑えます。しびれ、皮膚の変色、冷たさが出た場合は緩めます。

·        E:Elevation(挙上) — 可能であれば、患部を心臓より高い位置に上げ、腫れの軽減を図ります。

ただし、RICEはあらゆるけがに一律に適用できる治療法ではありません。冷却は主に痛みの軽減を目的として利用されますが、すべてのけがで必須というわけではありません。けがの種類や状態に応じて判断します。

骨折や脱臼が疑われる場合は、無理に動かしたり、元に戻そうとしたりせず、医療機関を受診してください。

2-2.POLICE:患部を守りながら適切に動かす

POLICEは、患部を保護しながら、回復に応じて適切な負荷をかけるという考え方です。

·        P:Protection(保護) — 必要に応じて固定やサポーターを使用します。

·        OL:Optimal Loading(最適な負荷) — 痛みや腫れに注意しながら、無理のない範囲で活動を再開します。

·        I:Ice(冷却) — 必要に応じて痛みの軽減を図ります。

·        C:Compression(圧迫) — 状態に応じて適度に圧迫します。

·        E:Elevation(挙上) — 可能であれば患部を高く上げます。

長期間まったく動かさずにいると、筋力低下や関節の硬さにつながることがあります。一方、痛みを我慢して無理に動かせば、けがが悪化する可能性もあります。

大切なのは、患部を守りながら、回復に応じて活動量を調整することです。

2-3.PEACE & LOVE:回復までを見据えた考え方

PEACE & LOVEは、けが直後の対応から、その後の回復や生活への復帰までを考える枠組みです[1]。

PEACE:けがの直後に考えたいこと

·        P:Protection(保護) — 患部を守り、悪化を防ぎます。

·        E:Elevation(挙上) — 可能であれば患部を高く上げます。

·        A:Avoid anti-inflammatory modalities(抗炎症的な処置を慎重に考える) — 炎症は組織の修復に関係する反応でもあるため、抗炎症薬などを一律に使用するのではなく、必要性を考えます。

·        C:Compression(圧迫) — 必要に応じて圧迫します。

·        E:Education(教育) — けがの状態や回復の見通しを理解し、適切な自己管理につなげます。

LOVE:回復期に考えたいこと

·        L:Load(負荷) — 痛みや状態に合わせて活動を少しずつ増やします。

·        O:Optimism(前向きな姿勢) — 必要な支援を受けながら、回復を目指します。

·        V:Vascularisation(血流を促す活動) — 状態に応じて歩行などを行い、活動性を保ちます。

·        E:Exercise(運動) — 関節の運動や筋力トレーニングなどを、回復に応じて行います。

これらは互いに完全に独立した治療法ではなく、患部の保護、適切な活動、回復への支援などに関する考え方です。

なお、PEACE & LOVEは、すべての要素の効果が高い確実性の研究で検証された治療というわけではありません。冷却や痛み止めを一律に避ける必要もありません。けがの種類や症状、持病などを考慮して判断します[1,2]。

2-4.痛み止めの使い方

急性の筋肉・関節のけがでは、貼り薬や塗り薬、飲み薬などが使用されます。

成人の急性の筋骨格系のけがでは、外用の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効な選択肢の一つです。必要に応じて、内服NSAIDsやアセトアミノフェンも検討されます[2]。

ただし、NSAIDsには胃腸障害や腎機能への影響などがあり、アセトアミノフェンも過量使用によって肝障害を起こすことがあります。持病や服用中の薬を確認し、適切に使用しましょう。

薬を使う目的は、単に痛みをなくすことだけではありません。必要な鎮痛を行いながら、回復に応じた活動を支えることも重要です。

3.ぎっくり腰、寝違え、筋肉や関節の痛み

ぎっくり腰や寝違え、筋肉痛、関節痛では、筋肉や関節への負担が関係している場合があります。ただし、痛み方や症状だけで原因を判断できないこともあります。


3-1.基本的な治療

重大な病気が疑われない場合は、痛みが強くなる動作を避けながら、できる範囲で日常生活を続けることが大切です。

長期間寝たままでいるよりも、無理のない範囲で歩いたり、少しずつ体を動かしたりすることが、回復に役立つ場合があります[3]。

必要に応じて、鎮痛薬や温熱療法なども検討します。薬の適否は持病や体質によって異なるため、医師や薬剤師に相談しましょう。

足の力が急に弱くなった、尿が出にくい、尿や便を漏らす、股の周囲の感覚が鈍くなったなどの症状がある場合は、緊急性の高い病気の可能性があるため、速やかに医療機関で診察を受けてください。

3-2.トリガーポイント注射

筋肉の一部に圧痛があり、押すと痛みが強くなったり、離れた場所に痛みが広がったりすることがあります。このような痛みの原因と考えられる部位を、トリガーポイントと呼びます。

トリガーポイント注射は、その部位に針を刺し、必要に応じて局所麻酔薬などを注入する治療です。筋筋膜性疼痛などで検討されることがあります。

痛みの軽減を示す報告はありますが、研究には限界があり、注射の方法や薬剤による違い、効果の持続期間などについては十分に明らかでない部分があります[4]。

また、注射後に痛みが改善しても、それだけで痛みの原因が特定できたとは限りません。自然経過やほかの治療の影響も考慮する必要があります。

まずは、状態に応じた運動、理学療法、生活上の工夫などを検討し、必要性が認められる場合に注射を選択肢として考えます。

3-3.神経ブロック

神経ブロックは、痛みの信号を伝える神経の近くに局所麻酔薬などを注入し、痛みを一時的にやわらげる治療です。

特定の神経に関連した痛みや、特定の処置に伴う痛みなどで使用されます。ただし、神経ブロックにはさまざまな種類があり、すべての腰痛や神経に沿った痛みに適しているわけではありません。

治療の目的、期待できる効果、持続期間、合併症などについて説明を受け、ほかの治療法も含めて判断することが大切です[3]。

3-4.漢方薬という選択肢

日本では、症状や体質などを考慮して漢方薬が使用されています[5]。漢方薬は、現代医学的な診断や検査に代わるものではありませんが、症状や患者の状態によって治療の選択肢となることがあります。

漢方医学では、痛みの場所や症状だけでなく、体質や身体全体の状態を評価する「証(しょう)」を重視します。同じような痛みであっても、体質、随伴症状、身体全体の状態などによって適した処方が異なる場合があります。そのため、症状名だけで処方を選ぶのではなく、個々の状態に応じた判断が重要です。

より専門的な評価に基づいて漢方薬を選びたい場合や、治療を続けても十分な効果が得られない場合には、日本東洋医学会認定の漢方専門医への相談も選択肢となります。

例えば、次のような処方が用いられています。

·        芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):こむら返りなどの筋肉のけいれんに用いられます。甘草による副作用にも注意が必要です。

·        葛根湯(かっこんとう):主に風邪の初期などに用いられ、症状によっては首や肩のこわばりを伴う場合にも検討されます。

·        治打撲一方(ぢだぼくいっぽう):骨切、打撲による腫れや痛みなどに用いられます。

·        防己黄耆湯(ぼういおうぎとう):体質や症状に応じて、関節の腫れなどを伴う症状に用いられることがあります。

·        越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう):腫れや熱感などを伴う症状で検討されることがあります。

·        薏苡仁湯(よくいにんとう):関節や筋肉の痛みなどに用いられることがあります。

これらは日本で使用されている処方の例です。ただし、使用されていることと、特定の病気に対する有効性が十分に証明されていることは同じではありません。研究の量や質、効果を確認するための条件は処方や病気によって異なります[5]。

また、漢方薬は体質に合っていれば必ず効くというものでもありません。漢方医学的な評価に加え、現代医学的な診断や必要な検査も大切です。骨折や感染症などを見逃さないようにし、必要な標準的治療を受けましょう。

3-5.鍼灸(しんきゅう)

鍼灸は、細い鍼を刺したり、お灸で温めたりして、痛みをやわらげることを目指す治療です。腰痛や首・肩の痛みなどで、補助的な治療として検討されることがあります。

鍼の刺激が神経の働きや、体が本来持っている痛みを抑える仕組みに影響する可能性が考えられています。ただし、作用の仕組みが考えられることと、実際の患者に十分な治療効果が得られることは区別する必要があります。

急性・亜急性の非特異的腰痛について、鍼治療の有用性を示唆する研究があります[6]。一方、英国のNICEガイドラインでは、腰痛や坐骨神経痛に対して鍼治療を提供しないよう勧告しています[7]。

この違いは、個々の研究の結果と、研究全体を評価して診療上の推奨を決めることが異なるために生じます。ガイドラインは重要な判断材料ですが、その推奨だけであらゆる状況における効果の有無が決まるわけではありません。

鍼灸を検討する場合には、対象となる症状、期待できる効果、費用、安全性などを考慮し、必要な診察や標準的な治療を軽視しないことが大切です。


4.胸やお腹など、内臓が原因の痛み

胸やお腹の痛みは、筋肉や関節の痛みとは異なり、内臓の病気が原因となっていることがあります。

例えば、胸痛には心臓や肺の病気、腹痛には胃腸の病気、胆石、尿管結石、虫垂炎などが関係することがあります。

突然の強い胸痛や腹痛、冷や汗、息苦しさ、意識が遠のく感じ、繰り返す嘔吐などがある場合は、重大な病気の可能性があります。速やかに医療機関を受診し、緊急性が高い場合は救急車を呼んでください。

内臓が原因の痛みでは、痛みを抑えるだけでなく、原因となっている病気を治療することが重要です。

漢方薬や鍼灸、トリガーポイント注射などによって一時的に痛みがやわらいでも、原因となる病気が治ったとは限りません。痛みが軽減したことだけで安心せず、必要な診断や治療を受けましょう。


5.治療を受けるときに知っておきたい安全性

治療を選ぶときは、期待できる効果だけでなく、副作用や合併症、費用、通院の負担なども考慮する必要があります。

5-1.痛み止めの薬

NSAIDsなどの鎮痛薬は、胃腸の出血や腎機能への影響などを引き起こすことがあります。アセトアミノフェンも、過量使用によって肝臓に重大な障害を起こす可能性があります[2]。

複数の薬を使用する場合は、同じ成分が重複していないか確認しましょう。持病や服用中の薬について医師や薬剤師に伝えることが大切です。

5-2.トリガーポイント注射

注射部位の痛み、出血、感染などが起こることがあります。首や胸の周辺などでは、注射する場所によって気胸などの重い合併症にも注意が必要です[4]。

治療の必要性やリスクについて説明を受け、適切な知識と技術を持つ医療従事者による処置を受けましょう。

5-3.神経ブロック

神経ブロックでは、出血、感染、神経損傷などが起こる可能性があります。局所麻酔薬が血管内に入るなどして、重い副作用が生じる場合もあります。

治療前に、持病、アレルギー、血液を固まりにくくする薬の使用などを伝え、治療内容に応じた安全管理が行われることを確認しましょう。

5-4.漢方薬

漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、必ずしも副作用が少ないわけではありません[8]。

特に注意したいのが甘草を含む処方です。甘草を含む複数の漢方薬を併用したり、長期間使用したりすると、血圧上昇、むくみ、低カリウム血症などを伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。

また、まれに肝障害や間質性肺炎などの重い副作用も報告されています[8]。

動悸、むくみ、強いだるさ、筋力低下、黄疸、息切れ、乾いた咳などが現れた場合は、速やかに医療機関に相談してください。

「漢方薬だから長く飲んでも安全」とは限りません。使用する必要性や期間、ほかの薬との組み合わせについて、医師や薬剤師に相談しましょう。

5-5.鍼灸

鍼灸では、施術部位の痛みや出血などが起こることがあります。まれですが、胸や背中への施術で気胸が起こることもあります。

衛生管理が適切な施設で施術を受け、出血しやすい病気がある場合や、血液を固まりにくくする薬を使用している場合は、事前に伝えてください。


6.痛みに合わせて治療を選ぶ

痛みの原因や状態によって、適した治療は異なります。以下は一般的な対応の例であり、症状だけで治療法を決められるという意味ではありません。

痛みや状態

主な対応・検討事項

捻挫・打撲・肉離れ

患部の保護、必要に応じた冷却・圧迫・挙上、回復に応じた負荷、鎮痛薬など

ぎっくり腰・寝違え

危険な病気の確認、無理のない活動、必要に応じた薬物療法や運動療法

筋肉の強いこわばりや圧痛

原因の評価、セルフケアや理学療法、必要に応じて注射を検討

特定の神経に関連する痛み

神経障害などの原因を評価し、病態に応じた治療を検討

筋肉のけいれん・関節の痛み

原因に応じた治療。条件によって漢方薬などを検討する場合もある

胸痛・強い腹痛

緊急性の高い病気を除外し、原因となる病気を治療する

治療を選ぶ際には、痛みの強さだけでなく、原因、年齢、持病、服用中の薬、期待できる効果、治療に伴う負担などを総合的に考えます。

治療を始めた後も、痛みが改善しているか、日常生活ができるようになっているか、副作用が出ていないかを確認し、必要に応じて治療を見直します。


7.治療の根拠をどう考えるか

患者にとって妥当な治療を選ぶには、科学的根拠を重視するとともに、その限界も理解することが大切です。

7-1.ガイドラインは重要な判断材料

診療ガイドラインは、研究結果や専門家の評価などを総合し、望ましい診療の方向性を示します。医療の質を保ち、治療選択を支援するために重要なものです。

一方、推奨は研究の確実性、期待できる利益と不利益、患者の価値観、医療制度などの影響を受けます。推奨されていない治療が、あらゆる患者にまったく効果がないと証明されたわけではありません。

逆に、ある研究で効果が示されたことだけで、一般的な診療で推奨すべきだと結論づけることもできません。

ガイドラインを尊重しながら、研究の質や対象者、効果の大きさ、持続期間、安全性などを確認することが重要です。

7-2.科学的根拠と臨床経験を組み合わせる

科学的な研究では、一定の条件のもとで治療を比較し、効果やリスクを評価します。一方、臨床経験からは、患者の個別性や実際の診療で生じる問題など、多くの示唆が得られます。

ただし、臨床経験だけでは、治療による改善と自然経過などを区別しにくい場合があります。また、研究で示された平均的な効果が、すべての患者に同じように当てはまるわけでもありません。

そのため、研究と臨床経験を対立させるのではなく、それぞれの長所と限界を理解し、患者の状態や希望と合わせて考えることが大切です。

7-3.治療の選択では、何を目指すのかを明確にする

治療の目的は、痛みの数値を下げることだけではありません。眠れるようになる、歩けるようになる、仕事や家事に戻れるなど、日常生活の改善も重要な目標です。

治療によって期待できる効果、効果が現れるまでの期間、持続性、費用、通院の負担、副作用などを確認し、患者さんが納得できる方法を選びましょう。


8.まとめ:原因を見極め、納得できる治療を選ぶ

急な痛みが起きたときに大切なのは、次の5点です。

·        まず原因を確認する。 強い胸痛や腹痛、息苦しさ、急な麻痺などがある場合は、緊急の対応が必要です。

·        患部を守り、回復に応じて活動する。 けがの種類や状態に応じて、安静、冷却、圧迫、挙上などを検討します。

·        標準的な治療を基本に、必要な選択肢を考える。 薬物療法、運動療法、注射などは、原因や症状に応じて検討します。

·        漢方薬や鍼灸も、根拠と安全性を踏まえて判断する。 漢方薬では「証」を考慮した処方選択が重要であり、より専門的な評価を希望する場合は、日本東洋医学会認定の漢方専門医への相談も選択肢となります。

·        痛みの経過を確認する。 改善しない場合や長引く場合は、原因や治療方針を再評価します。

痛みの治療に、すべての患者に共通する唯一の正解があるとは限りません。だからこそ、科学的根拠を大切にしながら、その限界も理解し、患者の状態や希望に応じて治療を選ぶことが重要です。

急性痛への適切な対応は、痛みからの回復を支える第一歩です。そして、痛みが長引いた場合には、急性痛とは異なる視点から原因や生活への影響を見直す必要があります。

 

なお、この記事は一般的な情報であり、診断や治療の代わりにはなりません。

 

次回は、慢性疼痛の特徴について考えていきます。


参考文献

[1] Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. Br J Sports Med. 2020;54(2):72–73. doi:10.1136/bjsports-2019-101253.

[2] Qaseem A, McLean RM, O'Gurek D, et al. Nonpharmacologic and Pharmacologic Management of Acute Pain From Non-Low Back, Musculoskeletal Injuries in Adults: A Clinical Guideline From the American College of Physicians and American Academy of Family Physicians. Ann Intern Med. 2020;173(9):739–748. doi:10.7326/M19-3602.

[3] National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management. NICE guideline NG59. https://www.nice.org.uk/guidance/ng59

[4] Shipton B, Sagar S, Mall JK. Trigger Point Management. Am Fam Physician. 2023;107(2):159–164. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36791442/

[5] Arai YC, Makino I, Ikemoto T, et al. Kampo for the Treatment of Pain in Japan: A Review. Pain Ther. 2020;9(1):161–170. doi:10.1007/s40122-020-00160-w.

[6] Lin H, Wang X, Feng Y, et al. Acupuncture Versus Oral Medications for Acute/Subacute Non-Specific Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Pain Headache Rep. 2024;28(6):489–500. doi:10.1007/s11916-023-01201-7.

[7] National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management. Recommendations, section 1.2.8. https://www.nice.org.uk/guidance/ng59/chapter/recommendations

[8] Shimada Y. Adverse Effects of Kampo Medicines. Intern Med. 2022;61(1):29–35. doi:10.2169/internalmedicine.6292-20.

 
 
 

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