治らない痛みに、東洋医学という選択肢

慢性疼痛(長引く痛み)は、多くの方が長年苦しみながらも、十分な改善が得られにくい病気です。
従来の痛みの診療では、画像検査や身体所見から「痛みの原因となっている組織」を特定し、その部位に対して薬物療法、神経ブロック、手術、リハビリテーションなどを行う考え方が中心でした。
しかし、慢性疼痛では、画像上の異常と痛みの強さが必ずしも一致しません1,2)。組織の損傷が治った後も痛みが続く方3)や、体の組織に見つかる異常だけでは説明できない広い範囲の痛みを訴える方も多く、鎮痛薬やリハビリテーションを続けても生活の質が大きく損なわれる場合があります。
一方、東洋医学(漢方薬と鍼治療)では、人の体は生命活動を支える力である「気」、全身に栄養を運ぶ「血」、体を潤す水分である「水」の三つがバランスよく巡ることで健康が保たれると考えます。そして痛みを、局所だけの異常ではなく、これらの巡りや全身のバランスの乱れとして捉えます。そのため、体質や生活習慣も含めて総合的に診療し、痛みだけでなく、痛みに伴う不眠、便秘、食欲低下、意欲低下、倦怠感、微小循環障害、冷えなどが和らぐことも経験しています。
このブログでは痛みの仕組みや東洋医学(漢方薬と鍼治療)の基本的な考え方を、専門知識のない方にもわかりやすく解説し、診断・治療・セルフケアの具体的な方法をご紹介します。西洋医学を否定するのではなく、それぞれの長所を活かした視点から、痛みに悩む方に実践的な知識と新たな希望をお届けします。
引用文献
1) Jensen MC, Brant-Zawadzki MN, Obuchowski N, Modic MT, Malkasian D, Ross JS. Magnetic resonance imaging of the lumbar spine in people without back pain. N Engl J Med. 1994;331(2):69-73.
2) Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816.
3) Treede RD, Rief W, Barke A, et al. A classification of chronic pain for ICD-11. Pain. 2015;156(6):1003-1007.


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